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ブログリレー
2025.05.30
法人本部
防災士の清水です。
この度、皆様に防災について考えていただく機会を設けたく、「日常の中に防災を。知識が、備えが、明日をつなぐ」と題し、今年度、計6回(奇数月に)以下のテーマで防災について発信させていただきます。
第1回テーマ:「自助と共助について」
第2回テーマ:「新潟県の地域特性(気象や地盤に焦点を当てます)
第3回テーマ:「天気図の見方」
第4回テーマ:「室内の安全対策」
第5回テーマ:「備蓄品の揃え方、運用の仕方」
第6回テーマ:「災害時の通信手段と適切な情報の入手方法」
今回は第1回目となります。
第1回から第6回まで全てに共通する、「自助」と「共助」。
この防災の基本的な考え方について、わかりやすくお伝えいたします。
ぜひ、ご一読いただき、この機会に防災について共に深め、備えていただけると幸いです。
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みなさん、想像してみてください。
今日も、いつもと変わらない朝が来て、当たり前のように家族と顔を合わせ、仕事や学校へ向かい、友達や同僚と笑い合う。
そんな、何気ない日常。
でも、その「日常」が、たった一瞬で壊れてしまう可能性があるとしたら――?
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日本は、世界でも有数の「災害大国」です。
私たちは痛みを伴う形で、自然災害の恐ろしさを何度も目の当たりにしてきました。
地震、津波、台風、集中豪雨、土砂災害、火災、火山噴火、猛暑、豪雪――。
過去の災害の記録を辿れば、いつ、どこで、誰が被害に遭っても不思議ではない現実が浮かび上がります。
「防災は特別な力ではなく、日々の積み重ねが生み出す安心」だと考えています。
防災の意識や備えは、単なる「自分を守るための力」にとどまらず、周囲の人を支え、地域を守るための力、そして、感謝の心を育てる行動でもあります。誰かのためを思う気持ちが、「何かあったとき、助け合おう」、「困ったときには互いに支え合おう」という行動に繋がります。防災とは、人を思いやる心の延長線上にあります。
いつ、どこで、どんな災害が起こるか分からない昨今だからこそ、日々の備えの重要性を改めて認識し、自分自身と大切な人を守るための行動を共に考えていきましょう。
📍「自助」と「共助」について、自助を疎外する要因「正常性バイアス」とは
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「自助」とは、自分の命は自分で守ることです。
「共助」とは、地域・職場・学校など、周囲の人と助け合うことを指します。
「公助」とは、国・自治体などの行政による支援です。
本来、これらはバランスよく機能すべきですが、災害発生直後、真っ先に問われるのは「自助」と「共助」の力です。「公助」は頼りになりますが、到着には時間がかかり、限られた資源での対応になります。
たとえば、阪神・淡路大震災(1995年)では、家屋倒壊から救助された人の約8割以上が家族や近隣住民によるものだった、というデータがあります。また、東日本大震災(2011年)の津波被害では、「早く避難を始めた人ほど助かった」という調査結果が出ています。
災害時において、「自助」は「共助」へと繋がり、ひいては地域全体の被害軽減に繋がる重要な要素であることは言うまでもありません。
日頃から備え、いざという時に冷静に行動できることは大変重要です。しかし、報道などで、被害状況や逃げ遅れてしまう方が取り上げられる際、その背景には物理的な障害(足が悪い、高齢で移動が困難など)だけでなく、「正常性バイアス」という認知的メカニズムが関係しているとされています。
これは、異常な事態が発生しても、「大丈夫だろう」「前回も無事だったから、今回もそこまで大きな被害にはならないだろう」「もう少し様子を見てから避難しても間に合うはず」と現実を過小評価し、避難行動を遅らせてしまう心理的傾向を指します。この心の平静を保とうとする機能は誰もが持っている自然な反応ですが、災害時や切迫している状況下では、自助や共助の妨げとなる可能性も否定できません。
このような事態を防ぐためには、「プロアクティブの原則」という考え方が重要になってきます。
「プロアクティブ」とは、単に「先手を打つ」という意味ではなく、状況を把握し、自ら積極的に行動を起こすことを意味します。
「プロアクティブ」と聞くと、身近な製品名を思い浮かべる方もいるかもしれませんが、防災や危機管理の分野において、この言葉はとても重要です。
災害は、いつ、どこで、発生するかわからないことが多いです。しかも一度発生すれば、私たちの生活を一変させるほどの影響を及ぼします。
このプロアクティブの原則には、大規模な災害が発生した際、または発生の兆しが見えた際に、どのようなスタンスで危機に臨むべきかという判断基準があります。
1.疑わしい時は行動せよ
2.最悪の事態を想定して行動せよ
3.空振りは許されるが、見逃しは許されない
具体的には、疑わしい情報や兆候があれば、すぐに対応を開始する。最悪の事態を想定し、万が一に備えた対策を講じる。誤った判断や行動してしまうリスクよりも、見逃してしまうリスクの方が大きいと考えるという判断基準です。また平時においても「防災は誰かがするだろう」ではなく、「自分から提案・準備する」という姿勢もプロアクティブな行動と言えます。
自助を阻害する要因は、心を平静に保つための機能(正常性バイアス)です。
自治体からの避難指示や情報提供に注意し、災害の危機を察知して、避難行動を起こすプロアクティブな行動こそが、いざという時に「動ける力」となり、自分自身を守る(自助)に繋がります。
一方、共助とは、地域の人々がお互いに協力し、支え合うことです。住まいや地域に危険が迫っているとき、人はなかなかすぐに行動することができません。しかし、そのことを認識し、周りの人に声を掛け合い、避難状況を共有することで、互いに助け合い、避難行動を促すことができます。
例えば、「地域の人の多くが避難を始めた」「〇〇さんも早く避難所へ」「一緒に避難場所へ行きましょう」「近所の〇〇さんはもう避難所へ行っています」といったように、具体的な情報を伝えることで、避難(難を逃れる)への後押しとなることでしょう。
【終わりに】
災害は、個人の力だけでは乗り越えられません。
「自助」と「共助」を両輪として、地域の方々との繋がりを大切にし、コミュニケーションを図ることが、最も基本的な「防災行動」と言えます。
災害時、行政の支援は限られています。真っ先に頼りになるのは、近所の人たち、つまり「共助」の力です。
そして、より多くの「共助」を実現するためには、自分自身の安全確保(自助努力)が欠かせません。
備える姿勢や地域との関係を持つことで、私たちの命を守る可能性は確実に高まります。顔見知りが一人でも多いだけで、助け合いがスムーズに進みます。
「何かが起きてから」ではなく、「何も起きていない今」だからこそ、防災は始まります。
防災を特別なものにしないためには、日常の中に自然に取り入れることが大切です。
・ “近所の方と挨拶を交わす、交流機会を持つ”
・ “スーパーに行った時には賞味期限の長いものを買う(その日のうちに消費するものは別です)”
・ “季節の変わり目に家族で備蓄品・持ち出し袋のチェック”
・ “車の燃料を常に半分以上に保つ”
・ “外出先では非常口の場所を確認する習慣をつける”
このような小さな一歩が、あなたや大切な人、周囲の人を守る力になります。
防災を日常に取り入れることは、安心の土台を築くことであり、「今日も無事に過ごせた」という日常への感謝の気持ちに繋がります。災害は「いつか来るもの」ではなく、「いつでも起きうるもの」です。だからこそ、「今」から備えることが、未来の安心に繋がります。
次回7月のブログリレーでは、私たちの住む新潟県における地域特性や想定される災害リスク、備えのポイントについてお伝えいたします。
どうぞお楽しみに。



